夢八十一夜

夢を見た。

近未来、スカパラの人数はエグザイル並みの増殖をくりかえし、夥しい数のスカパラがいた。
その末端の奴らは「金管楽器狩り」を行い、町の人々の金管楽器を奪い、自らの鎧にしていた。
俺も小さなトランペットを所有しており、毎日のささやかな楽しみに吹いていた。
ある日、俺の住む地域にもスカパラの金管楽器狩りの奴がやってきた。有無を言わさない略奪行為。差し出すか、さもなけれは死だ。
俺は涙をこらえながら、乱暴に取り上げられたトランペットを見つめる。すぐに他の金管楽器と混ざり、どれが俺のトランペットなのかわからない。
憎しみを込めた目でスカパラ金管楽器狩りのリーダーと思しきスキンヘッドを睨む。



そのスキンヘッドに「すごいっすね。金管楽器の鎧ほんとかっこいいっす」と媚を売る男。
その男は、高校の同級生のSだった。

俺は、トランペットを奪われた悲しみと、友人の情けない姿で、立ち直れないくらい落ち込んだ。

夢八十夜

夢を見た。

窓ガラスはしっかりと閉めているのに、
そのガラス部分から巨大なカラスが顔を出している。

子どもも寝ているし、俺はかなり焦っている。
体をねじらせてカラスは遂に部屋に入ってきた。
ヤバい〜と思ってどうにか取り押さえようとカラスにかぶさる。

ダメだ。大きすぎる。
一体どうしたらいいんだ!と途方に暮れた瞬間、
ふとみるとカラスは小さなコウモリになっていた。

ただ、動きはかなり奇妙で、
直感的に(これは、油断するとあの巨大なカラスに戻る)とわかった。
羽を広げないように、かつ、潰さないようにティッシュでしっかりと押さえた。
感触は何かイモムシみたいで気持ち悪い。
しかもなぜかヌルヌルしていた。
力なく鳴き声をあげるそのコウモリを、おれは外に捨てた。